CASAとはConversation activating system Asadaの略です。
CASAは患者さんやご家族の聴力に合わせた音量の調節が可能で、話し手の声が利用者の聞き取りやすい音域に変換され、難聴の利用者だけでなく、軽度の難聴のある利用者にも使用することが可能です。周囲の雑音や騒音などを遮る機能があり、話し手の声のみが聞き取りやすくなっています。
高齢者・難聴の方にわずかに残っている聴力を活かし、会話力を高め、相手との会話を促進するシステムです。
難聴のある高齢者において、「質問が聞こえないことが理解できない、認知症であると判断されることが多いのではないか?」また、「聞こえない環境が続くことで、考えることも少なくなり、認知症状が進行するのではないか?」という考えにより、診察時に会話力賦活装置(CASA)を用いて、相手からの話がクリアに聞こえる環境を提供し、会話力の変化と認知症の関連性を検討しました。
書面で同意を得た38名に、のべ386回、実施。会話が成立する機会は、CASA導入前に266回(68.91%)、導入後、350回(90.07%)に向上した。対象者38名の内、毎回、会話が成立する人は、CASA導入前に18名(47.37%)、CASA導入後、29名(76.32%)。全く一度も会話が成立しない人はゼロ。
38名に、のべ386回、実施。CASA導入後に61.40%で笑顔が増えた(導入前 32.38%)。CASA導入後に積極的に会話する人が57.25%に増えた(導入前 24.35%)。
医師との対話で67人中36人(53%)の利用者で、会話のテンポが良くなり、質問に対する返答が早くなった。
高度難聴者や認知症発症者にCASAを使用した。環境を整えることで、自身で考え・伝え・選択する機会が増えた。
54名にのべ807回、CASA導入の前後で会話(質問)を行った。CASA導入前に、560回(69.39%)、導入後に、740回(91.70%)、会話が成立した。CASA導入前に、54名の内、26名(48.15%)で、CASA導入後、42名(77.78%)で、毎回会話が成立した。
入所者54名に、のべ807回の会話を、会話補助システムCASA導入の前後で行った。導入前に247回(30.6%, 247/807)で会話が成立しなかったが、導入後に、180回(72.9%, 180/247)で、新たに会話が成立した。導入前に、会話が毎回成立するには至らなかった28名の内、導入後に、16名(57.1%, 16/28)で、新たに毎回会話が成立した。3種類のヘッドフォンは同等に会話力を増強した。
入所者54名に、CASA導入の前後で、のべ807回の会話を行った。CASA導入前と導入後、いずれも、年齢が若くて、認知症度・要介護度が軽度である方が、会話が成立しやすかった。CASAは会話の成立回数を増やし、会話が成立する年齢を引き上げた。
入所者54名に、のべ807回の会話をCASA導入の前後で行った。笑顔が見られる回数が24.8%、増加した。積極的に話をする回数が29.6%、増加した。認知症を有する人との7カ月の会話を分析することにより、各個人の経時的な変化・特徴が明らかになった。
高齢者75名に、のべ1,210回の面談を行った。361回で会話が成立しなかった。この361回の内、CASA導入後に新たに251回で会話が成立した(改善率69.5%)。また、CASA導入前に、会話が全く成立しない14名と、時折会話が成立する24名、合わせて38名の内、導入後、新たに25名で、毎回会話が成立した(改善率65.8%)。
75名に、のべ1,210回の面談を行った。75名の会話成立率(会話成立回数/会話施行回数)はCASA導入により、平均70.9%から92.0%に有意に改善された。認知症度、1(Ⅰ)から3.5(Ⅲb)までのレベルで、CASA導入後に、会話成立率が有意に上昇した。認知症度が高度な人でも、CASAは会話成立率を有意に上昇させた。
75名に、のべ1,210回の面談を行った。CASAにより、会話力の総点数は導入前に比べて、導入後に34.1%増加した。表情の総点数は14.2%増加した。積極性の総点数は24.6%増加した。総合点(3項目の合計点)は26.4%増加した。認知症や難聴のある方でも、CASAを導入すると、笑顔が増えて、話すことに積極的になった。
75名、のべ1,210回の面談を行った。CASAの導入により、74名で会話力・表情・積極性・総合力は有意に増強された。個人別に数週(最長29週)にわたり、「会話力健康手帳」を作成した。各個人の聴力・認知症度を長期的に観察し、会話力健康手帳を作成することは、聴力の低下・認知症度の進行を知る上で、有用である。
37名にCASA導入前後で面談を行った。観察期間は平均 18.9週で、これを初期(8週まで)と後期(9週以降)に分けた。CASAが会話力を増強させる効果(反応性)は9週後も維持された。この効果を通じて、認知症の方に良い影響を与えていることが示唆された。
75名を対象として、のべ1,210回の面談を行った。60dB前後の騒音下において、CASAの導入により会話力が増強された。CASAの導入により、年齢や認知症度が会話力に与える影響は緩和された。
75名、のべ1,210回の面談を行った。難聴と認知症の鑑別を試みた。CASAにより、5つのタイプに類型化できた。タイプ3では、普段の会話が全く成立せず、高度の認知症と誤って診断される可能性がある。CASAは難聴と認知症を鑑別する補助診断の方法として有用である。
69名を対象として、のべ641回、面談した。CASAの試作1号機の会話力増強作用は優れていた。試作機は携帯出来て、しかも使用方法が簡単であるので、回診の際に必携である。
会話で人と交流できるようになると、笑顔が増えます。話が弾みます。言いたいことを相手に伝えられます。
完成品(ミミヨリーナ)を紹介します。開発当初のCASAのシステムについては、学会報告を参照してください。
(対話する二人とミミヨリーナで(正)三角形を作ると、難聴者は相手の声だけでなく、
自分の声も良く聴こえるので、自信をもって話が出来ます)
(ミミヨリーナの拡大図)